腕を引かれて

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   とある黄金色の昼下がり。  気怠い午後のお勉強を抜け出して、小さなイーディスは物陰でうとうとしていました。  先日8歳のお誕生日を迎えたイーディスは、まるでお人形さんのよう。顎の辺りで揃えられたふわふわの金髪が、風に揺られてピンクの頬を撫でています。  しかし、突然に。  『誰か』がそんなイーディスの細腕を掴んで引きずり起こし、物凄い力で引き倒し。 「──っ!!」  世界がぐるりと反転して、イーディスはとっさに目をつぶり、地面に叩きつけられる衝撃に耐えようとしました。  ──けれど、予想した衝撃はいつまで経っても訪れず。  恐る恐るイーディスが薄目を開けると、 「…っ、わあああぁあぁあああああぁあ────っ!!!」  口からほとばしる絶叫。  深く、真っ暗な穴の中をイーディスは落ちていました。  
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