古代ギリシャの巫女 シリア

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「私にこんな子供が出来るとは思っても見ませんでした。とても私達には面倒見切れませんので、出来るなら、その才能を生かせる所へと…」 私「小さなお子さんを手放すのは辛くなかったですか?」 「それは…お腹を痛めて産んだ子ですから、辛かったです。最後は主人が決めました。主人は頑固ところがあるので、抵抗はありましたが、どうしようもありませんでした。最終的にはわたしも同意しました。」 私「今、シリアさんに対してどう思ってますか?」 「あれから一度も会いに行きませんでしたから。とても申し訳ないと思っています。会うと辛くなるから… 今は巫女として有名になって、風の噂で彼女のことを聴くので畏れ多いという気持ちがありますね。自分のお腹から出てきたとはとても思えません。」 私「お父さんもシリアさんの事を怖れていた所はあるのですか?」 「物心つき始めた頃から、神々と話始めていて、よく質問をされていました。私の理解の範疇を越えていて…」 私「そうかも知れませんね。」 「長老が、シリアは神と繋がる存在だから、しっかりした所へ預ける方がいいと…」 私「で、シリアさんの事を思って神殿に預けたのですね。」 「怖れは確かにありましたが、娘なんでやはり可愛いです。こんな片田舎に留まるのはシリアの為にならないと思ったのです。」 私「暫く振りに会われてどうですか?」 「ちゃんと美しく成長した姿を見ると、感慨深いですねえ。幼少の頃から会ってないので、寂しい思いをさせてしまいました。申し訳ないです。」 私「貴方の時代は神々も近かったと思うのですが、それでもシリアさんは珍しい存在だったのですか?」 「はい。そうです。」
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