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高校二年の春。 新学期を迎える俺たちの学校には、いつもの風景が広がっていた。 「隼人!今年度も同じクラスだな!」 俺らの通う私立鳳凰学園は男女共学の学校であり、一年から三年までクラス替えがない。 「お前、俺らの学校クラス替えないんだから一緒なの当たり前じゃん」 「そんなの承知の上だっつうの!あえて言ってやったんだよ!嬉しがんな」 「俺はホモじゃねーし。大体、お前が俺のこと好きなくせに」 俺がそういうと龍二は「分かってんじゃん!」 とか言って笑いながらどっかいった。 ・・・なんだあいつ。 こういう流れはいつもあることで、俺が思うことも一緒。 「さあ、席につけ。」 そういって教室に入ってくるのが実の兄池ノ内勇人。 新任の教師としてこの学園に勤めている。 なんせ、ここだけの話この学園は俺の親父が理事長だから。これは、みんなに知らされていない。 その理由は兄貴もこの学園出身であり、また俺も現にこの学園にいる。 有意義に学園生活が送れるようにと親父が考慮してなのか、俺たちは母親の姓を名乗っている。 苗字が違えば親子と思われることもなく、まして顔も偶然といっていいほど俺たちはどちらも母親似だ。 だから、このことを知っているのは俺と兄貴と龍二だけだった。 「今年も、お前らの担任を務めることになった。よろしくな。」 兄貴が簡単に挨拶をする。
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