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未だ言葉が定まらないまま、間宮の住む街の駅にたどり着いた。
何回かしかきたことのない場所だけれど、間宮の家までの道のりをはっきりと覚えていた。
それだけ、思い出となって心の中に残っているのだろう。
「ああ。着いてしまった。」
家の前まで来た瞬間、感じたことない緊張感に包まれる。
さて、チャイムを。
ってしてみるけれど、勇気がなく、手を引っ込める。
「全く、何やってんだよ。どこがクールだ。」
昔、クールを気取っていた俺。
そんな自分が恥ずかしくなってきた。
何回もチャイムを押そうとするができずに、何分もの間立ち往生する。
この状態他の人からしたら不審者だな。
いや、とりあえず電話しよう。
いきなり押しかけるのも迷惑だと思い、久しぶりに間宮に電話をかける。
『・・・もしもし・・・・』
何回目のコールのあとに戸惑っている声で間宮が出た。
「あ、もしもし。」
俺も緊張からか言葉が続かない。
でも、俺からかけたんだ。
何か話さないと。
「今から会えないかな」
『・・・・え?・・・』
「話したいことがあるんだ」
『・・・うん・・・』
「家の前にいるから出てきてくれると嬉しい」
『・・・え?来てるの?・・・』
「外で待ってる」
『・・・分かった・・・』
全部単調すぎたかな。
電話を切ったあとのほうが心臓がドキドキしている。
こんなに面と向かって会うのはいつぶりだろう。
「ごめん。待たせて。」
部屋着にカーディガンというラフな格好な間宮。
やっぱり可愛いと思ってしまい、目線を逸らす。
「いきなりごめんな。ちゃんと話さないととずっと思っていたんだけど、勇気がなくて」
「いいよ。隼人くん忙しそうだし。」
お互い下を向きながら会話をする。
どこから俺は話をすればいいんだ。
何も決めずに呼び出してしまった。
1人で悶々と考える。
その時間は無言だ。
1秒が1時間に感じるほど、空気を重く感じた。
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