ⅩⅢ

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「連絡くれていたのに返事できなくてごめんね」 俺が次の言葉を考えていたときに間宮から話し出す。 「いや、内容も内容だし。」 せっかく会いにきているのに、全くといっていいほど話すことができない。 正直に今の気持ちを伝えればいいだけなのに。 「隼人君。私は今でも好きだと思っているよ。でも、私の存在が隼人君の邪魔になるならいないほうがいいよね。」 俺はその言葉にびっくりして顔を見た。 今にも泣き出しそうな間宮。 つくづく最低な男だな、俺。 「そんなんじゃないんだ。本当は俺だって気持ちが離れてない。でも不器用だから上手く色々こなさせなだけ。間宮は何も悪くないよ。」 「でも、別れたほうがいいんだよね。」 さっきの龍二の顔をふいに思い出す。 中途半端なのが一番悪い。 でもここで本当に間宮を手放してしまったら俺はバスケに集中できるのか? 突き放しただけでも龍二にああやって怒られて、結果集中できてないんだ。 だったら? 俺は自分の中でもう答えは出ていたのに素直に行動にできてないだけ。 「は・・・隼人君?・・・・」 咄嗟に間宮を抱きしめる。 「もう、中途半端なことはしない。俺にはもう間宮がいないとだめなんだ。」 そう。 間宮がいないと俺はだめなんだと。 突き放したあの日から間宮のことを考えなかった日はない。 ぐるぐると自己嫌悪の毎日だった。 バスケにも影響がでたらそれはもう昔の俺じゃないという証拠。 クールでもなんでもない。 恋愛を知ってしまったただのオトコなんだ。 「だから離さない。もう離さないことに決めた。」 泣かせたくなかったのに俺の腕の中で静かに涙を流している。 じんわりと服にしみて肌に冷たい感覚がする。 「隼人君。バスケ頑張って」 こんなときでも俺のことを一番に考えてくれる。 「うん。間宮ごめんな。もうつらい思いさせないように努力するから。」
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