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こんな自分がわがままで身勝手な奴だったなんて始めて知った。
俺から突き放したくせに、離さないってまた俺から歩み寄るなんて都合がよすぎではないのか。
腕の中に間宮を入れたまま考える。
でも、間宮も黙って俺の背中に手を回してくれた。
「隼人君。もういろいろ考えないでいいと思う。考えて考えて悩んじゃうから気持ちが分からなくなってしまうんだよ。不器用なら思ったとおりに行動したらいい。私はそんな隼人君について行くから」
か細く小さな声でゆっくりと話す。
その一言一言が俺の胸に直接刻まれた気がした。
「ありがとう。」
ああ。
毎回こうやって間宮に諭されるんだな。
俺は不器用ってのも言わずとも分かってくれていたんだ。
このままずっと抱きしめていたい衝動に駆られたが、龍二が待っていることを思い出す。
名残惜しいが間宮を腕の中から開放した。
今日初めて目をみる。
「これからもよろしくお願いします。」
俺は素直に頭を下げた。
「こちらこそよろしくお願いします。」
俺に続いて間宮も言ってくれた。
それからもう寒いから家の中に入ってといって、ダッシュで体育館に戻る。
そこには1人でシュートを打つ龍二がいた。
もう他のメンバーは帰った様子。
「龍二!」
俺は急いでバッシュを履き、龍二のもとに行く。
多分言わなくても俺の表情とか雰囲気とかテンションとかで分かっているんだろう。
「どうだった?」
シューティングを一旦止め俺のほうを向く。
「やっぱり俺は間宮がいないとダメだった」
笑顔でそういうと「そうだよな。まあ、分かっていたけど」とだけ言って、俺にボールを渡してきた。
こうやって理解してくれる親友がいて、俺は幸せ者だとまた感じる。
それからのシューティングは最近の俺の確立を軽く上回るほど調子がよかった。
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