995人が本棚に入れています
本棚に追加
/137ページ
古々は、目に涙を溜めながら訴えた。
「ぼ、僕、本当に知らないんです…!ま、まさか冬馬様が、あ、あんなことになってるなんて、し、知らなくて…!」
「しかし、昨日の夜、冬馬くんの近くにいたのは君だ。何かしら、変化があったんじゃないのかい…?」
古々は、美貌が眼前にまで迫り、頭がくらくらしていた。
普段は近づくこともままならない、現生徒会長の顔が近くに。
その事実だけで、失神してしまいそうだった。
どうする、あの携帯のこと、桜田聡里のこと、加賀見が来たこと…
全てを言ってしまおうか……
「あの…僕、……」
バタン、と生徒会室の扉が開けられた。広小路は大きな溜め息を吐く。
「全く、この生徒会室は立ち入り禁止と決まっているはずだがね。一体誰だい?…………………おお!!君だったか~!」
古々は後ろを向くと、フードを被った男が立っていた。
「どうだい?正体を破られずに、学園内に溶け込めているかな?」
正体??一体どういうことだろうかと、古々はまじまじと見てしまう。
それに気づいた広小路は、優しく笑いかけた。
「紹介するよ、古々くん。この学園にとって欠かせない存在…
西崎佐久也くんだ。」
最初のコメントを投稿しよう!