地球なんて侵略なんて簡単、簡単

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        イオニアの本星――スターマーズン。そこにある文科省本拠地の文科総統室。そこの書斎に赤のチャイナドレス姿の女性と黒い外套姿の老婆が会話をしていた。 ★老婆★ 「文科総統様。どうか我がヨンヨンに文科省重要課題を御与えください」    魔女と勘違いされやすいこの老婆は第44ユーゲント(女子仕官高等学校)の理事長である。星の数ほどある仕官高等学校の中ではど真ん中のレベルであり、どうにかして名門校の仲間入りをしたかった。  そしてこのチャイナドレス姿の女性こそが。 ★文科総統★ 「ヨンヨン理事長。そうだな。例の未帰還艦隊の1件は知っているか?」 ★理事長★ 「未開の太陽系の事ですか? 存じておりますが……」 ★文科総統★ 「実は未開の太陽系に住む蛮族によって殲滅されたらしいんだ。大総統閣下はその結果を即座に帳消しにしたい。しかしたかが蛮族程度にイオニアの将兵を再度派兵するのも悩んでおられる。そこでだ。ヨンヨン。お前らの学校が侵略してみないか?」 ★理事長★ 「確かに。文明レベルが低い惑星程度。仕官学校の戦力でしたら余裕に侵略ができます。現に他校も侵略に成功し学校の地位を上げています。しかし未帰還とはいえ、その地球を侵略すれば我がヨンヨンは文科省御用達の名門校になれるのですか?」 ★文科総統★ 「当然だ。引き受けてくれれば資金面は文科省が全額負担をしよう。しかも地球侵略の暁には大総統専属の名門校へと地位を上げてやってもいい。どうだ。こんなウマすぎる話。どこにもないだろう?」  理事長はニンマリの笑顔になり引き受けた。大総統専属ともなれば名実ともに地位は最高位となる。  スターマーズンの軌道上に大型の赤い宇宙戦艦がある。全長335メートル。  宇宙戦艦の名は≪第44ユーゲント(女子高等仕官学校)》。  第44ユーゲントの校舎である。イオニアの仕官学校とは実戦を想定した教育施設をコンセプトとして主に軍艦や軍事要塞を校舎としている。
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