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「私、Mなんです」
ハッキリと発音された言葉は、距離も近いにも関わらずまるで二人の間に壁があるように、私の頭には上手く入って来なかったんだ。
「もう一度言ってくれるかい?」
聞き間違いだろう。高をくくってもう一度聞き直した。でも、目の前の女の子は恥ずかしそうに目線を下げ、同じことを繰り返したんだ。『私、Mなんです』
まさか初日からこれほど変わった案件が飛び込んでくるとは予想していなかったよ。
ああ、もちろんあのビルとビルの間の、街中の雑踏の中から完全に隔離され、一瞬テレポートしたのではないかと思うほど静かな空間『占い師カミサマ』の中で、今日あったことさ。
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