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《次は輪廻転生についてお話しましょう》
小町は此方の反応を完全スルーして話を進める。
《舞台裏では年に一度、選定試験いわゆるオーディションが行われます》
おいおい、死後の世界でオーディションとは随分と斬新な発想じゃねえか。
《そのオーディションでは様々な試験が用意されています。そしてその時に初めて生前の行いの善し悪しが反映されるんです》
「ぷっ、オーディションて」
優太はオーディションという言葉をやたらと気に入ったらしく、先程からずっと口を抑えて笑いを堪えて居る。
《そして、無事合格した上位10名には自分の来世を思い通りに指定することが出来るという特権が与えられます!》
転生先を謳い文句にするなんてきっとこの宗教は真新しさが売りなのだろう。
ああ、だからターゲットを若者にしたのか。
《例えば犬に生まれたい、
財閥の家に生まれたい、
ある分野において天才的な才能をもって生まれたい、
何でも実現することが出来るんです》
凄いでしょ、と金色の髪を揺らす。
確かにそれが本当だったのなら凄いどころじゃ済まない。
《そのオーディションの試験官を務めるのが、私たち〝舞台監督〟(ステージディレクターズ)通称〝SD〟なのです》
私たちってことは複数居るのか。
ん、そういえばこいつ初めになんて言ってたっけ。
《因みに、SDは辞職後の転生でオーディション合格者と同様の特権を与えられるんですよ》
「ねえ、あっくんこれってもしかして」
優太が顔を引きつらせて俺に問いかける。
《今日皆さんに集まって貰ったのは他でもありません》
「あぁ、おそらく」
《今から、そのSD選抜試験を行います》
…。
全く頓狂だ。
「そんなのどうでもいいから、早く俺達を開放しろ!」
随分と怒った様子ですぐ近くの少年が叫ぶ。
「きゃあ!」
刹那の後に少女の悲鳴があがる。
「安心しろ、参加の意志が無いものは直ぐにでも消すから」
何処から現れたのか、黒いタキシードに高いシルクハットを被った黒髪の長身の男がピストルを少年に突き付けていた。
「しかし忘れるな、これだけの人間を同時に誘拐することが出来る程の力を少なくとも俺達は持っているという事実を」
「…は、はい」
少年の顔が紅潮したものから蒼白へとみるみるうちに変化を遂げる。
《ふふ、一人でも多くの方のご参加を祈っています》
シャラン、と鈴の音が空間に響いた。
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