DIRECTORS

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《まず、Greenroomへようこそ。ここはエントランスとなっています》 画面の向こうで微笑むのは、ツインテールの金髪に茶色の目をくりくりとさせた少女。 上質そうな桜色の袴を身に纏っているが、日本好きな外国のお嬢さんだろうか。 《こんなにも沢山のSD候補者の方々に集まって頂いて光栄に思います》 というか、話の内容が驚くくらい理解できないのだが。説明をしてくれるんじゃなかったのか? 「ねえ、グリーンルームって何?」 「知らないよ、直訳して緑の部屋、とか?」 「緑の部屋って何よ…ばか」 自分だけかと思いきや、周囲の奴らの会話を聞いて少しだけ安堵する。英語は苦手だ。 「Greenroom…〝楽屋〟いや、〝舞台裏〟か?SDは何の略だ?」 横を見ると、優太が右手を顎にあててブツブツと独りで呟いている。そういえばコイツ帰国子女だった。 畜生、かっこいいじゃねえか。 《ふふ、皆さん訳が分からないといった顔をしてますね》 映像はどうやらリアルタイムで放送されているようで、更に向こうから此方の様子もみれるらしい。 少女が笑うと、シャラシャラと小さく鈴の音が聞こえた。 《自己紹介が遅れました、私の名前は小町(コマチ)っていいます。よろしくお願いしますね》 ぺこり、と小町と名乗った少女はお辞儀を軽くする。なんだ、じゃあ彼女はハーフか何かか。 《まず、説明の前にこれだけは守って欲しいルールがあるので何よりも優先して言わせて貰いますね》 「ていうか、小町ちゃんハムスターに似てると思わん?」 丁度このタイミングで優太は思考の世界から帰ってきたようで、早速くだらないことを言ってきたが、余りにも的確な表現だったので思わず吹いてしまった。 「…種類は絶対ロボロフスキーだな」 「ロボ…?あっくん動物にそんな詳しかったっけ?」 「ハムスター限定だ。妹が小さい頃から馬鹿みたいにハムスターばかり飼ってたからな、自然と覚えた」 「あー、美苑(ミソノ)かあ。何か意外やなぁ」 途端、周囲が急にざわめき始めた。やべ、一番重要なことを聞き逃したみたいだ。 「あの、今小町さん何て言いました?俺ら聞き逃しちゃって」 「あら、ちゃんと聞いていなきゃダメじゃない」 慌てて近くに居るセーラー服の少女に話しかけると、見る限り歳の近い初対面の人にも関わらず説教を食らってしまった。
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