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「しーあわせなら てをつなごー!」
元気よく歌うのは小さな先輩。俺よりもちっさいその人は、俺よりもおっきい声で楽しく歌う。いったいなにがそんなに楽しいのか、俺の手を繋いでぶんぶんと振り回した。
「先輩、俺の腕がもげます。」
「しーあわせなら てをつなごー!」
俺の声も聞こえないようだ。黙ってれば美人なのに、ちょっと変わった性格のせいでことごとく男と長続きしたためしがない。いや、そもそも本人は誰かと付き合ったという自覚さえないだろう。人懐っこいこの人は、声をかけられれば映画館だろうと遊園地だろうとホイホイついてくからな。……あのな、世の中みんな善人で、優しくって思いやりに溢れて社交的で人間だいすぎ!って人ばかりじゃねえんだよ。先輩並に人間が好きなやつは池袋の情報屋くらいなもんだろ。
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