幸せなら手を繋ごう

3/7
前へ
/7ページ
次へ
「先輩、聞いてます?俺の腕がもげますってば。」 だから俺はこの人のお目付け役。恋人なんだよ、彼女が毒牙にかかるのを黙って見てられない。 ちょっと変わってる――――否、世界がみな善人だと信じこんでいるこの超ど級のお人好しは、俺くらいひねてる奴で丁度釣り合うんだろうから。 「しーあわせなら たいどでしーめそーよ! ほーらみんなでてをつなごっ!」 超弩級のお人好しの先輩の瞳には、きれいなものしか映らない。耳にはきれいなものしか聴こえない。だから俺はたまにものすごく不安になるわけで。 (マジで俺の声、聴こえてないんじゃねーのか。これ。) 「先輩!」 歌うのに夢中だったその人を腕の中に閉じ込めて、その顔を俺の方に向けさせた。びっくりした顔、その瞳の中に――――よかった俺がいる。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加