2人が本棚に入れています
本棚に追加
「先輩、聞いてます?俺の腕がもげますってば。」
だから俺はこの人のお目付け役。恋人なんだよ、彼女が毒牙にかかるのを黙って見てられない。
ちょっと変わってる――――否、世界がみな善人だと信じこんでいるこの超ど級のお人好しは、俺くらいひねてる奴で丁度釣り合うんだろうから。
「しーあわせなら たいどでしーめそーよ! ほーらみんなでてをつなごっ!」
超弩級のお人好しの先輩の瞳には、きれいなものしか映らない。耳にはきれいなものしか聴こえない。だから俺はたまにものすごく不安になるわけで。
(マジで俺の声、聴こえてないんじゃねーのか。これ。)
「先輩!」
歌うのに夢中だったその人を腕の中に閉じ込めて、その顔を俺の方に向けさせた。びっくりした顔、その瞳の中に――――よかった俺がいる。
最初のコメントを投稿しよう!