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こうしてアドニスは春から夏がアフロディテ、秋から冬がペルセポネーと暮らす事になった。
最初の内は順調だったがアフロディテもペルセポネーも会えない年が続く度アドニスへの想いが大きくなるばかりだった。
「もう耐える事が出来ない…」
アフロディテはそう呟くと涙を流した。
春が過ぎ夏が過ぎアドニスとの別れの季節がやってきた。
だがアフロディテは秋が過ぎても冬が過ぎても一向にペルセポネーへ渡さなかった。
「それでは約束が違う!!」
ペルセポネーはアフロディテへ怒りを露にした。
ペルセポネーもアフロディテのように涙を流す程アドニスを愛しているのだから怒るのも当然である。
「絶対に許しはしない…!!覚えていろ…!」
怒り狂ったペルセポネーはアフロディテの愛人で軍神[アレス]にこの事を密告した。
「アフロディテは人間の子アドニスに溺愛しているわ」
「なんだとっ?!…おのれ人間の子…!!」
アフロディテとアドニスは2人の話など知らず普段と変わらない暮らしをしていた。
アドニスはいつものように狩猟に出掛けて行った。
すると後ろから獰猛な猪が襲ってきたのである。
「な、なんだ?!」
最初は矢で戦っていたが動いているから当たるはずもない。
「くっ!!」
この猪は実は変身したアレスだった。
こうしてアドニスは為す術もなく猪…いやアレスに殺されてしまった。
「アドニスっ!!アドニス!!!」
アフロディテがアドニスに駆け寄った時はもう手遅れでアドニスは静かに息を引き取った。
そしてアドニスの血が滴った土に赤い花…アネモネが咲いたのである…。
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