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兄の葬儀からもう一週間が経つというのに、まだ実感がわかない。
「由紀!もう!またボーッとしちゃって!ほら!早くカラオケ行こうよ!」
親友の梨夏は兄の死から立ち直れてない私をどうにか元気にしようと、毎日一緒に居てくれる。
今日だって本当はバイトがあったはずなのに、朝から口数の少ない私を心配してカラオケに誘ってくれたのだ。
「ごめんごめん、よーし!今日は歌いまくるぞー!」
本当はそんな気分じゃないんだけど、梨夏に心配かけっぱなしは嫌だし………
「由紀ー!一緒に帰ろう!」
誠は隣のクラスで時々私を呼びにこのクラスに来る。
「誠ごっめーん!由紀は私が借りちゃいまーす!」
お調子者の梨夏はふんわりとした内巻きの茶髪を揺らしながら誠にちょっかいをだす
「なんだと!くそっ!一歩遅かったか~」
なんて2人のやり取りを聞いていると少し気持ちが楽になった。
「じゃあ、誠も一緒に行かない?どうせ暇でしょ?海斗も誘ってさー」
「それいいね!!!」
適当に言った私の提案はあっさりとオッケーされ、そのあと海斗と連絡を取り4人でカラオケに行った。
最初はカラオケを楽しんでいたが、途中からは私以外がお酒を呑み始め、最終的にはべろんべろんになってしまった。
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