第一章 春坂深紅

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時刻は六時二十分 ちょうどいい 事務所に六時半に着ける そう思い歩きだした 駅の側を通ったとき 夕暮がいた クラスメイトの女子と一緒に 「何だ… 大事な用事ってやっぱりデートか…」 とポツリと呟いた 『デートじゃないのー??』 とからかったが本当は心の中で デートなわけない と信じていた自分がいた でも違った 楽しそうに笑う夕暮を見てしまうと怒る気もなくなってしまった 探偵をやってるとき 夕暮が笑っているところをあまり見ない 教室で友達と喋っているとよく笑っているのに 私が無理矢理夕暮を探偵に引っ張り込んだ だから好きでやっているわけじゃない 笑っていない夕暮を見ると 夕暮を探偵から、私から解放してあげなきゃ と思う でも そう思っても やっぱり放せない私がいる そしていつも笑って誤魔化して夕暮を縛り付けてる この感情が何なのか 私はまだ気付いていなかった
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