第一章 春坂深紅

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「私… 見回り行ってきます…」 暁はそう言うと立ち上がり鞄を手に取った 逃げるようにドアを開けて事務所を出ていった暁 残された俺と響子さんは黙ってコーヒーを飲んでいた そして沈黙を破ったのは響子さんだった 「暁…今日誕生日だっけ?」 「えっ…はい」 「だからか…」 と言って響子さんは1人納得したしかし俺は納得できず 「あの… さっきの人… 誰ですか?」 と聞いた 「あぁそっか 夕暮会ったことないんだっけ?」 「響子さんはあるんですか?」 「うん… あの人は暁のお父さんよ」 「えっ…!?」 「と言っても多忙な人で、1年に1回会えればいい方ならしいけどね…」 「そうなんですか… 何の仕事してるんですか? 暁のお父さん」 「あ――…うん 警察…かな それも…」 「それも…?」 「いや、何でもないよ…」 と言って響子さんはまた黙ってしまった 「って警察なんですか!? すっげー… かっこいーよなぁ…」 なんて俺はちょっと憧れた ってか暁が生まれるのが分かる気がした お父さんと話したわけじゃないけど 暁のあの正義感の強さはおそらくお父さんゆずりなのだろう 1人納得した
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