第一章 春坂深紅

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カランコロン 「ただいまぁ…」 私は憂鬱なまま事務所のドアを開けた 「おっ おかえりー 忘れ物してるぞー」 すると夕暮が首だけ回して声をかけた 「ほんと? 何ー?」 「俺の愛 …なんちて」 「えっ…?」 「いやっ ここ笑うとこだから つっこめよー」 「ごっごめん… もうっ何の冗談よー」 「お前に笑って欲しかったから」 見透かされた 私の今の心の中を 「えっ…!?」 「これも冗談だよー 真に受けんなよ」 本気で励まそうとしてくれてるのが分かった だから 「…そんなことないよ… 私笑ってるよ?!」 すると夕暮は真顔になって 「笑ってないよ 顔が引きつってる」 図星だ 無理して笑ってるのが夕暮には分かっていた 「…っ……」 「まぁこんなときは わぁぁっと盛り上がろうぜ!!」 「は!?」 「3時半に学校の校門前に来いよ!!」 と言って夕暮は事務所から出ていってしまった
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