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「とりあえず中に入って?」
「あっありがとうございます。」
竹中さんの家は期待を裏切らなかった。清潔に保たれた玄関には靴が一足も置かれておらず、人が住んでいる雰囲気ではなかった。
そんなことを考えていると
「はぁ…どうしよう、手かがりなしだったらお父さんに怒られちゃう…。」
「お父さん?」
「そうなんです。うちの父親厳しくて…前にお姉ちゃんが結婚したいって言ったら、カンカンに怒って…」
「そうなんですか。」
「今回は2ヶ月も帰って来てないから本当に怒ってて…手が付けられないんです。」
「へぇ…」
すると、聡子さんが振り返って
「いやー昨日帰って来たから冷蔵庫に何にもなくてさー、お菓子でも出せればいいんだけどね。」
「いえ、お気遣いなく…。」
そう言いつつも聡子さんはいい香りのする紅茶を出してくれた。
「一人暮らしだからこんな大きな家じゃなくてもいいんだけどね。」
「えっ!?一人暮らし?」
「うん。そうだよ。」
「弟さんは?」
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