第一章 春坂深紅

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藍深さんは響ちゃんに向かってこう言った。 「どうやらあなたには全てお見通しみたいですね。」 「えぇ。」 自信たっぷりに響ちゃんはうなずいた。 「そうです、あなたの言うとおり私は結婚を認めてもらうために家を出ました。」 「藍深…。」 「お姉ちゃん…。」 「それで認めると思ったか…?」 「お父さんっ!私は家を出てまでも彼が好きなの!」 藍深さんが叫ぶ。 私は藍深さんのお父さんの表情が一気に変化したのに気付いた。 そして、電車の中で聞いた言い伝えを思い出す。 「それって…あのお姫様と同じですよ?家族を捨ててまで自分の恋を叶えようとして…それで…家族を心配させて、傷つかせる。 藍深さん、約束したんじゃないんですか?そんな恋はしないって。」
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