第一章 春坂深紅

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藍深さんは私の言葉に俯き、黙ってしまった。 「暁、後は家族の問題よ。」 響ちゃんが私の肩に手を置いた。 「うん…。」 夕暮も私の方を見て頷いた。 聡子さんと聡也さんも私たちの横に立ち、帰るようだった。 私たちは三人に背を向けて駅へと歩き出した。 途中、ふと振り返ってみると三人の佇む姿が夕陽に照らされていた。 私は時間が経つのの速さに驚きながら前を向いた。 帰りの電車、私たちに会話はなかった。
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