第一章 春坂深紅

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俺は困っていた 今日はかなり大事な予定がある 今日しかチャンスがないのだ というか今日がラストチャンスだ 「おいっ!!」 「何よ」 「俺まじで今日大事な予定があるんだけど」 「何なの、その大事な予定って」 「それは… 言えねぇ」 「あー…分かった デートでしょ??かわいい彼女と」 「ちっちげぇーよ!!」 「ムキになっちゃって この前行ってた桜川女子との合コンで彼女できて 今日初デートとかでしょ??」 「ちげぇーよ!! 俺に彼女ができるわけないだろ!!」 「何でよ」 「それは俺がお前をすっ…」 "好きだから" そう言いかけて止めた あいつが俺を恋愛対象として見てないのは分かってたから 「うちをす…??」 「なっ何でもねぇよ とにかく違うから じゃあな」 「何よぉ…」 あいつの誕生日は 明日だった 今日はプレゼントを買いに行ったあと誕生日会の会場を飾り付けする予定だった と言っても銀華高校の教室を借りて誕生日会を開くのだが 携帯には友達から もう飾り付けを始めた というメールが来ていた 俺は振り返り暁の姿を見つけるとじゃあなー!! と手を振りながら大きな声で叫んだ すると暁も振り返り 若干拗ねた顔で手を振り返した それを見た俺は ぷっ と噴き出して 前を向き 今から向かう と返信した そして駅の側のデパートに向かって歩きだした
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