-募集-

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2人の間で喧嘩口調のやり取りが始まるが、俺は密告のことが気になった。 デタラメな番号が書いてあるのかと思っていたが、そうではなかったのか。 「松本、相手って誰だったんだ?」 「いや、わからないよ。ずっと無言だったんだ。 俺が『斉藤明が日直サボったよ』って言ったら、切れちまった」 「やだ、なんか気味悪いな」 香奈が顔をしかめる。 人の彼女だけど、その本気で怖がってる表情が可愛いくて、安心させようと優しい声を出す。 「密告の募集書いた人と、電話に出た人は関係ないのかもしれないよ。きっといたずら電話だと思って切ったんだよ」 「あっ、そうだよね。本当に自分の連絡先書くわけないもんね。」 「うーん。やっぱりいたずらかぁ」 安堵の溜息を零す香奈とは反対に、さゆりは残念そうにうなだれた。 面白いおもちゃを失くした子供みたいだ。 「密告を受ける側は何の利益もないだろう。儲けがないのに、バイト代払ってたら大赤字だよ。」 来週になれば、密告バイトの話題はあきられているだろう。 俺はのん気にそんなことを考えていた。 これから、どんな恐ろしい出来事に巻き込まれていくかも知らないで...
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