Ⅸ 主人と犬

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「さっ、早く教室行かないと遅刻するよ?」 『そうですね。』 黒時は、鞄を持ち七夕と一緒に部屋を出た。 出るときにネームプレートをみると 鏡 七夕 or 波風 稔将(ナミカゼ ネンショウ) と書かれていた。 気にする事もなく二人で教室に向かう。 皆の視線が通り過ぎる七夕と黒時を凝視した。 「黒時は、大切な人いる?」 隣から声をかえてきた七夕は小首を傾げた。 黒時は、聞こえないフリをして前を見据える。 と、見覚えのある人物が目にはいった。 奈々と要だ。 二人は楽しそうに笑っている。 フと奈々がこっちを見た。 驚きに足を止める奈々。 要も奈々の動きを気になって奈々の見る方を見た。 愕然と疑問。 黒時は、二人の間を通り過ぎた。 『要、俺風紀辞める。』 不吉な言葉を残して。 いち早く我に返った要は黒時を呼んだ。 足は動かない。 二人は思った。 あれは誰?…と。 .
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