Ⅸ 主人と犬

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side 神崎 黒時 目が覚めたら知らない天井が……ってオチじゃなくて、現在、現実逃避中。 理由? 奈々が五月蝿いから。 誰が、風紀を、辞めようと、勝手じゃ、ないか。 文節に区切ってみた。 ちなみに、中一問題な。 この頃は、凄いよ? 今年から教科書変わって受験範囲広くなったからな。 「ね、黒時。あのキャンキャン吠えてるの誰?」 『風紀の奈々くんです。学力が伸びないせいか、落ちこぼれと言われていました。』 「ふぅん。」 現実逃避中の黒時に話かける七夕は心なしか笑っていた。 スキップをしながら黒時を追い越した七夕は振り返って両腕を広げた。 「おいで。」 笑顔で抱き着く黒時。 黒時の前方で叫び声が響いた。 「ぅあああぁぁぁあぁ!!」 三樹だ。 彼は両手で顔を覆いフラフラとコッチに向かってきた。 黒時は、気にせず抱きしめる力を強める。 「な…で?……こ……い……え?……そ…ゃ…ブツブツ」 何を言っているかわからない。 俺にはわからないよ? 目の前で涙を流す三樹が。 背後で涙を流しながら叫び続けている奈々が。 視線で訴える要が。 笑いを堪えて震えている七夕が。 君達は僕に何を望むの?――― .
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