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「神崎、兄貴が心配してたぞ。」
あえて涙に触れなかった かいと は岳菟の事を思い出した様に言った。
岳菟も黒時がベットで休んでから数分後に拳の手当に来た。
平気な顔して時たま チラチラ と黒時を心配する岳菟は良い兄貴だと かいと は思った。
傷の手当てをし終わっても保健室から出ていかない岳菟に黒時の具合を知らせるとあからさまにホッ とした顔をした岳菟が かいと の頭の中で浮かぶ。
パソコンを見て微笑む かいと に黒時は少々顔を歪めていたのは かいと は知らない。
『何、人の写真見て笑ってるんですか。失礼ですよ。サイテーですよ。キモいですよ。』
「ばぁか、思い出し笑いだよ。」
『恋…ですか?』
「はぁ?」
『幸せそうな顔をしていましたから。小説で読んだ事があります。死ぬ時に最初に頭の中でその人が浮かぶと。』
「なんで、死ぬときなんだよ。」
『人はいつ死ぬかわかりませんからね。』
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