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入学式が終わり数日たったある日、訳あってこの町に引っ越してきた。
そして…
一年三組
そう書かれたドアの前に私は立っている。
新しい制服。
新しい上履き。
新しい風景。
新しいクラス。
今日からここが私が通うクラスになる。
まだ新しい校舎が続くきれいな場所。
「入れ、赤坂!」
先生の一言で、私は目の前の教室に足を踏み入れた。
歩くたびに漆黒の長い髪が揺れる。
「ちょっと時期が遅いが、今日からこのクラスで一緒に生活する……えぇと…」
先生は手元の名簿をパラパラめくって確認している。
私は心の中で、生徒の名前も覚えていないのかよ…と思っていた。
しかも、転校生の名前くらい覚えろよ。
心の中で思っていたことだ。
だから、だれも気づかないと思っていたのに誰かが先生をからかった。
「あれ?先生もしかして…転校生の名前、覚えてないんじゃね~担任なのになぁ~」
私は、うつむいていた顔を上げて声のした方を見た。
担任をからかっていたのは、赤みのかかった髪でけっこう整った顔つきの少年だったら。
彼の発言は影響力があるらしく、教室全体が彼に賛同して笑っている。
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