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「……つさん……中津さん!」
「は、はい!」
不意に自分の名前、中津 葵(なかつ あおい)の名字を鬼と言われる女教師に呼ばれ、席を立つ。
呼ばれた原因はもちろん、私が居眠りをしていたことに由来するので、周りに笑われるのは仕方がない。
うぅ……恥ずかしい……
ゆでダコのように顔を真っ赤に染め、ゆっくりと席につく。
視線は下に落とし、前髪でこの顔を見られないようにする。
もぉ、私のバカァ。 睡魔のバカァ。 鬼のバカァ。
なんて心の仲でバカバカ言ってみて、気をまぎらわしてみる。
その日の練習はそんな調子で過ぎてしまった。
本番で寝ちゃたらどうしよう?
寝なければいいだけの話なのだが、前の日は興奮して眠れなくて、悲惨な結果が頭に油汚れの如くぎとついてくる。
あぁ、このビジョンだけは避けなければ!
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