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今はまるで遠足の帰り道のようだ。
行く前はとっても楽しみだけど、行ってみればあっという間。
そう、卒業式の本番もあっという間に終わってしまったのだ。
「どうした、あーちゃん?」
「こーちゃんか……なんかすごいさっぱり終わったなぁ、なんて」
私の名前からとった、あーちゃんと言うあだ名。
付けたのは紛れもなく私の頭を撫でるこの鈍感男なのだ。
「練習中居眠りした人の言うこと?」
「うっ!」
「あーちゃんって本当にバカだよね」
「むぅ」
あーちゃんってバカだよね。 まったく女子に向かってバカとは何事か……
これがこーちゃんの口癖なのは私も理解している。
でもこの鈍感男、頭いいから、何も言い返せないのが、辛い……
「私はどうせバカですよ」
「拗ねちゃった? ごめんごめん」
「許さないもん」
この件(くだり)もいつも通り、卒業式と言う特別な行事の日でも、私たちは変わらない。
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