第1話

1/2
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ

第1話

4月の春、真新しい制服に腕を通して鏡の前に立つ。 中学生の頃のセーラー服とは全く違う、ブレザーの制服。 リボンをつけて、スカートを2回折る。 くるんと鏡の前で1回転するとプリーツの裾がふわりと舞う。 今日は始業式。 「由香ー!ご飯出来たわよ!」 お母さんの声がする。 「はーい」と返事をしてリビングに向かった。 リズムよく階段を降りる。 洗濯機がごうんごうんと稼働していた。 ドアを開けるとリビングには良い香りが立ち込め、ダイニングテーブルには弟である晃太が座り味噌汁をすすっている所だった。 「晃太おはよ」 「…はよ」 中学2年生になり、以前よりも素っ気ないが挨拶だけは返してくれる弟だ。 「由香、カウンターにお味噌汁とご飯置いたわよ!」 キッチンからはお母さんの声。 言われた通り味噌汁とご飯を取り、自分もダイニングテーブルに座った。 .
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!