第一章

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「僕は今日非番だったんです。フラッと散歩がてら壬生寺に行ったら井戸の側にあなたが倒れていました。そのままにするわけにもいかないので、こちらに運んだんですよ。」 「そうですか…ありがとうございます。井戸の近くに…」 男たちが嘘を言ってる様子も演技している感じもしない… (まさか、井戸に落ちてタイムスリップ…そんなマンガみたいな話あるん…?) 唯が1人で百面相しながら考えていると、正面から 「で?お前…高梁だったな、お前は何者なんだ?」 「何者と聞かれても、私にもわかりません。名前はさきほど申し上げたように、高梁 唯です。年は21。仕事は…案内人です。」 (バスガイドと言っても怪しまれるだけやわ) 「どこから来たんだ?」 「それは…わかりません。」 「あぁ?分からないだと?さっき意味の分からない事言って、戻るとか言ってただろ?」 「記憶がないんです。」 「記憶がないだぁ?嘘ついてんじゃないだろうな!?」怒鳴られるとますます頭痛がひどくなってきた。 やり取りを見ていた男の1人が仲裁に入る。
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