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ヨロヨロと危なげな足取りで居間に向かう、片手には巨大なオムレツがある。
何故俺がダイナマイトオムレツと呼んでいるのかは、その巨大さから来ている。
居間のドアの手前まで来たが、ダイナマイトなオムレツのせいで両手が塞がっている為、器用に足を使ってドアを開く
ドアを開けた途端、ブワッと冷気が俺の体を襲った。
居間の中にはテーブルとソファー、少し大きなテレビが設置されている。
両手の自由を奪っていたオムレツをテーブルの上に置いた後、部屋に備わっている冷房機具のリモコンを探した。
居間には小さな冷房機具が設置されている、その冷房機具は誰もいないのに切磋琢磨に働いていたらしく部屋の中は冷たい風で一杯だった。
姉が恐らく切り忘れたのだろう、冷房機具の電源をソファーに寝そべっていたリモコンを使ってoffにする。
いつもの姉なら、そんな切り忘れなどしないのだ、恐らく急いでいたのだろう。
急いでいたにも関わらず俺の為にダイナマイトなオムレツを作ってくれた姉には感謝している、食べ盛りな俺にはちょうど良い大きさ、だ
俺は食べ物を食べる時はテレビを付ける、食べ物の美味しさを決めるのは30%がテレビが有るか無いかだと勝手に考えている。
テーブルの上に置かれているリモコンを使ってチャンネルを回す
が
何処もかしこも通販ばかりだ、もっとマシな番組は無いのか?
大体今何時だ!?と、今更ながら時計を見る。
10.30分と映し出されているデジタル時計を見て俺は軽く舌打ちをした。
学生達にとっては夏休みは毎日が休日だが世は平日。そして平日のこの時間帯は基本的に通販の番組ばかりだ。
結局俺はテレビのチャンネルを回すのを諦め、テレビの下のビデオデッキの中に過去に録画したビデオを入れた。
ビデオを入れると古いビデオデッキがガガッと音を立てた――
―『異常者の力』―
少し大きめのテレビ画面にビデオテープに録画されていた番組が映し出される。
この番組『異常者の力』は俺が小さい時から続いて放送されている番組だ。
簡単に番組の内容を上げると、異常者に直に能力を使って貰って司会者がスゲースゲーと言ってるだけの番組だ。
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