授ける力=チート

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夏の日差しになるべく当たらない様に影を歩いて俺はバス停に向かった。       ★ 馬鹿みたいに降り注ぐ夏の日差しは時に人を殺してしまう程の脅威になる事がある。 バス停前には屋根も日陰を作る建物もなく、俺は直接太陽を浴びていた。 バス停の時刻表によると後5分後に冷房の効いたバスが到着する予定だ。 が 5分経っても更に5分経ってもバスが来る気配はなかった。 コンクリートの水平線を眺めてもバスは来る気配がない。 身体中から先程までは汗が出ていたが、何故かつい先程からピタリと汗が止まった。 干からびる一歩手前の俺は朦朧とした意識の中必死にオアシス(バス)が来るのを待った。 その時、朦朧とした意識を元に連れ戻す様に"声"が俺に話し掛けてきた。 「あ、あの大丈夫ですか?」 その声は風鈴を鳴らした様な涼やかな声で、スゥーと俺の耳に届いた。 朦朧とした意識はその声で元に戻り、心が楽になった様な気がした。 俺は体を動かして"声の主"を捜した。 視線を横に向けると俺の胸辺りの身長の少女が立っていた―― 「心配してくれて、ありがとな」 と俺は少女に言った。 その少女はとびっきりの笑顔を俺に向けてくれた。 その少女は髪の色が銀色で、薄い碧眼、長い銀髪は腰よりも長くて、髪についている髪留めに妙に視線を向けてしまう。 服装は白いワンピースで手荷物などを所持していない、"神秘的な子"だった 俺は彼女を一瞥すると元の視線の方向に向き直した。 何故だろうか、俺は少女の事が凄く気になった。理由は多分"声"だろう 少女の声は何処か涼しげで神秘的。 俺は少女の声が聞きたかった。 「あ、あのぅ…○×行きのバスってまだ来てないですか…?」 少女は震える様な声で俺に聞いた。 ○×行きは俺が乗ろうとしてたバスだ、クソッたれ運転手が何処かで道草でもしてるのだろうか?と思う程人を待たせるバスだ。 余りにもバスが来ない為か少女はバスが行ってしまったかと思った様だ。 なるべく俺は低い声で 「多分そろそろ来る筈だよ」 と言ったら少女は 「今来たばかりで乗り遅れたって思ってたの!…あ、思ってました!」 と笑顔を俺に向けた。 少女の声は神秘的でずっと聴きたかったが俺は話すのを止めた。 "異常者"だからだ。 この少女の髪の色は自然な感じ銀髪 "髪の色"からして異常者だとわかったからだ ―――― ――― ―― ― 結局俺達は無言のままバスを待った。
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