転倒転校生からタン

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私、笹菜紗那がこの世に生を受けてから、ざっと16年が経過した。 人の一生と比較すれば短い時間ではあると思うけど、それでも全ての記憶を鮮明に思い出せるほどの容量とは言えない。 しかし私は覚えている。 大容量の記憶の中で、その思い出は頭の中で輝きを放つ。 それは小学1年生の時の、青春の1ページ。 『さなちゃん!一緒にあそぼーよ』 一人ブランコに揺れる私に声を掛けてくれた、白木華羅という女の子のことを。 いつも底抜けに笑っていて、クラスの皆とも仲良くすぐに打ち解けることができた明るい女の子。 彼女を嫌う人なんて、どこでも見たことがないぐらい。
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