その男『かがみや』につき

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そして、きっかり一週間後。 彼女は再び、カウンターで紅茶を飲んでいた。 「どうだい、あれから?」 ポットを傾けながら、店主が尋ねる。 「はい、ホントに嫌な感じもなくて……ありがとうございます!!」 「いやいや、どうって事ないさ。ただの暇潰しだし、それに……」 店主はカップの中の紅茶を覗きながら。 「あくまで僕は君を助けただけで、君の全てを助けた訳じゃあないし」 「……?」 「いやいや、こっちの話」 やっぱりこの人、ちょっと頭おかしいのかもしれない。 里香はそう思った。 「あ、そうだ。この前のニュース見ました? 記憶喪失の人が一度に七人も出た……」 「ああアレね……」 「アレ、六人は今まで行方不明だったらしいですよ、今朝やってました」 「へぇ~」 「む! 何ですかその返事は~!」 「え~、だってどうでもいいし~」 「もう! 知りません!」 「困ったなあ~」 「もう! 全然困ったように聞こえないんですけど!」 「バレた?」 「だから認めない!」 「ハハハ」
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