鏡と偽善と兄弟と

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「聞く人聞く人にそれじゃあ、情報なんて手に入りませんよ。たとえなにか知っていたとしても、畏縮してしまいますからね」 「……」 しかし流石のツヴァイトも、一般人に対して、ここまで乱暴な振る舞いをしたのは始めてで、自分でも驚いていた――というよりも、普段の彼はむしろ感情を露わにしないタイプの人間である――のだが、確かに、自らの纏う雰囲気が高圧的だというのは何度か言われた事がある(特に妹のトゥーンにまで指摘された日は、部屋から半日出られなかった)ので、黙って店主の言葉を聞いていた。 「あと、たかが一介の商人を舐めちゃいけません。商人独自の情報網というのは、とんでもないモノなんですから、覚えておいた方がいいでしょうね。たかが商人と侮ると痛い目見ますよ……ま、僕は違いますけど」 「あ、ああ……そうか……」 そういうものなのか。 日頃、鍛錬を欠かさぬ彼だが、そんなことは思いもしなかった。 団長から、お前は二番隊止まりと言われた意味がなんとなく分かった気がした。
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