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それは実に奇妙で豪華な、心躍る空間であった。
団長の振るうムチに合わせて躍動する魔獣達の、溢れんばかりな生命力。
奇術師が織り成す、頬が照りあがるような光と熱の画廊。
その合間へ絶妙に滑り込む道化達の滑稽な茶番。
中でも、翡翠の瞳をした双子の曲芸は見事の一言に尽きた。
野を駆けるパンテオンを思わせるしなやかな体捌きから繰り出されるナイフの応酬と、息の合った組み技は、もはや舞踏の類を観ているような気持ちにさせてくれる。
その時、隣で少年が見せたはしゃぎ様は、まさに物語の英雄を目にしたのかとでも言う程で、件の『おにいちゃんたち』が誰かは言うまでもない。
この光景をこの子に見せてあげることができた、それだけで今日この場に来た意味があったのだとトゥーンは思えた。
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