2.再会

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「ちょっと、奈留。いつ仲良くなったの?」 「あ、昨日だよ。昨日帰ったら家にいて」 「えっ、家にいたの!?」 そりゃあ驚くよね。 私も驚いた。 「引っ越したから挨拶しにね」 そう言った流衣はいつの間にか私の後ろから移動して、私と沙和の間、机に手をついてしゃがみ込んでいた。 「てことは、家奈留の近所なんだ。あ、私川上沙和。よろしくね」 “よろしく”と沙和を見ている流衣は若干上目遣いでちょっと可愛い。 「あ、そうそう。奈留にお願いがあるんだけど」 「なに?」 流衣は目線を沙和から私に移す。 「学校案内してくれないかな?」 「えー、そんなの私達がやるのにー」 “いいよ”と答えようとした私の言葉は、他の声で遮られた。 声のした方をみると、さっき流衣の席の周りにいた女の子達がいた。 せっかく流衣が私に頼んでくれたのに。 無理矢理にでも流衣を連れていきそうな雰囲気に少しいらっとする。 すると 「ごめんね?俺、奈留にお願いしたいんだ」 と流衣は女の子の方を向いてにこっと笑った。        女の子達はその笑顔に“きゃーっ”と騒ぐ。 でも私は、笑顔ではなく言葉に騒ぎたいところだ。 今のって私がいいってことだよね? そう思うと少し顔が熱い。 両手を頬に添えて赤くなるのを隠した。 「だから、ごめんね?」 流衣は笑顔を崩さない。 その笑顔に負けたのか、女の子達は“はい~…”と渋々私に流衣を案内することを譲ってくれた。
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