1.指輪

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    今川流衣(イマガワ ルイ)とは幼稚園からの幼なじみだ。 親同士の仲が良く、私と流衣はよく一緒に遊んでいた。 ある日、流衣は私にプレゼントをくれた。 「大きくなったら僕のお嫁さんになってね」 そう言って私の手に握らせたのはおもちゃの指輪。 そして流衣の指には色違いの指輪がはまっていた。 “うん”と元気よく返事をした小さい頃の私はこの意味をわかっていたのだろうか。 それでも流衣を気になりはじめたのは、たぶんこの頃から。 小さい時のことに深い意味はないだろう。 流衣の行動にも、私の気持ちにも。 小学校にあがってからも流衣とはずっと一緒だった。 もう一緒にいることが当たり前になってたんだと思う。 だからだ。   流衣の転校が決まって、流衣がいなくなって、当たり前がなくなった私は淋しいという気持ちを恋と勘違いしているのかもしれない。 いや、きっとしてるんだ。 長い間会ってもいないのに、小さい頃の恋心が今もなお続いているのはやっぱりおかしい。 もし続いているとすれば、あの指輪だ。 今でも大切にしているあの指輪。 それももう忘れたほうがいいのだろうか。 “必ず連絡する” そんな約束はいくら待っても果たされることはなかった。 今でさえも。    
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