2.再会

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    あれから7年たった今、私は高校2年になった。 それでもまだ、流衣をひきずっている。 高2の春。 クラス替えの季節。 「奈留っ!やった今年も同じクラスっ!」 教室に入ってくるなり、私を見つけて抱き着いてきた沙和に、私も思いっきり抱き返す。 やっぱり親友と一緒なのは嬉しい。 「俺の存在も忘れないでよ?」 沙和の後ろから声がする。 「帝っ!帝も同じクラス?」 “うん” と笑顔が返ってきた。 やっぱり彼女と一緒のクラスは嬉しいんだろうな。 「よかったじゃん、沙和」 まだ抱き着いている沙和の背中をぽんぽんと叩く。 すると顔をあげて“うん”と笑顔を見せた。 似てるなぁ、この2人。   しばらくして体育館へ移動の指示が放送で入り、始業式が始まった。 式での先生の話ってなんでこんなに長いんだろう。 眠くなっちゃうよ。 いっそ寝てしまおう。 そう思った瞬間に話が終わった。 タイミングの悪い先生だ。 始業式が終わり教室へ戻る。 担任が来てからSHRをやって今日は帰宅。 担任が来るまでの間、私たちは同じクラスになれたことを、改めて喜び合っていた。 「今年の体育祭はちゃんと帝のこと応援していいんだよねっ。敵になったりしないもんねっ」 そう言う沙和に帝は“うん。応援よろしくね”と言って、頭を撫でる。 「沙和、去年違うクラスでも応援してたじゃん」 私が笑いながら言うと、“当たり前じゃーん”と幸せたっぷりな笑顔が返ってきた。 これだけでごちそうさまって感じですよ。 こんな目の前でいちゃいちゃされたら、羨ましくなるのもおかしくないよね?   私がいることを覚えているのか、いないのか、 担任が来るまで2人はずっとこの調子だった。 「ほらみんな、席に着けー」 そう言いながら入ってきた先生は見覚えがある。 「今年このクラスの担任になった杉下だ。よろしく」 杉下先生は、面白くて優しくて生徒想いの良い先生。 2年連続は嬉しい。 1回この先生のお世話になっちゃうと、他の先生はちょっと遠慮したい。 今年はいい思い出たくさん出来そうだと、今日何度目かわからない笑みを浮かべた。 「それと、このクラスに転校生が来ることになった。入って来い」 最後の言葉は廊下に向けて発せられた。 皆の視線が前のドアに集まる。 すると、ゆっくりドアが開き、男子生徒が中に入ってきた。    
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