2.再会

4/14
前へ
/26ページ
次へ
    その後、鞄を持って近づいてきた帝からも“あれって奈留が言ってた流衣って奴?”と聞かれた。 沙和に聞かれた時同様に“そうかもしれない”と曖昧な返事をする。 「もしそうなら、覚えてないのかな」 帝が独り言のように言った言葉に、胸が痛んだ。 それでも2人に余計な心配をかけないように“もう7年もたってるしねぇ”と笑った。 「奈留、帰りに新しく駅前にオープンしたカフェ寄ってこうか?」 それでも心配をかけちゃったみたい。 沙和が笑いかけてくれた。 「うん。あそこ行ってみたかったんだ」 今度の笑顔はしっかり笑えてるかな。   「じゃあ俺は先に帰るな」 “また明日”と手を振って歩きだそうとする帝の肩を沙和はがしっと掴む。 「帝も行くのっ」 「え、でも女の子同士の方がよくない?」 それはカフェに入りづらいと言っているのか、私に気を遣って言っているのか。 賢く優しい帝ならおそらく後者なのだろう。 そう思った私は 「そうだよ!せっかくだから帝も行こっ」 と言う。 「…わかった。俺も行くよ」 私の言葉を聞いて渋々了承した口調だ。 「じゃあ行こっ」 沙和はそう言って帝の腕を引っ張って歩き出す。 「沙和、鞄忘れてるっ」 私は沙和のと自分の鞄を持って2人を追った。    
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

65人が本棚に入れています
本棚に追加