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目を覚ましたのは早朝4時。外は薄く、明るさを増していた。隠していた事実までもが照らされてしまいそうで、不安になり、そっと家を抜け出した。
指で作った四角に切り取られた世界こそがわたしの全て。それ以上も以下もない。完璧な自由を知らないわたし。未成年であるが故に縛られる自由で、のびのびと暮らす。
照らされてはいけない事実を抱えて走り出した。朝陽が射さない場所を目指して―――だけど、わたしは理解している。“指で作った四角に切り取られた世界こそがわたしの全て”だと言うこと。
簡単に世界は覆われた。希望を含んだその光に。
わたしは絶望した。事実は痛いまでに晒されたのだから。
綺麗に並べられた街並みに、わたしは溶け込み生きて行かなきゃならない。息苦しさも理不尽な辛さも抱き締めて。
まだ未熟なわたしには、何も分からないけれど、突き付けられたのは、紛れもない現実と隠し続けた“わたし”という事実だけだった。
影を引き摺り家に帰り、部屋へと戻ってわたしは泣いた。受け止めることを拒否しながら理解をしてしまったことがあまりにも悲しかったから。
( 道は一つ。この先も生きるということ )
終わり。
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