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王子はベッドに横たわっていた。こちらに背を向けた状態で。金色の髪が白い枕の上に広がり、よりいっそうその金色を強調していた。
そっとその髪の毛に触れると、ぴくりと肩が動いて、顔をこちらへ向けた。目が赤く充血していて、泣いていたことを言わずとも物語っていた。
「いつの間にそんな泣き虫になったの。」
少しからかうように言ってみれば、僅かに上がる口角。貴方には笑顔が一番似合っているのに。なんて勿体無い。
そろりと伸びた王子の手はわたしの腕を掴んだ。まるで今にも消えてしまいそうな何かを引き留めるように。
「きっと君に咲く花なら、綺麗だよ。」
そう言った王子の顔には一番似合う笑顔を浮かべていた。欲しかった言葉を貰えて、見たかった顔を見られて、わたしは嬉しくなった。
この気持ちに合う言葉がずっと知りたかった。漸く分かった気がする。間違ってるかもしれないけど、王子、わたし、何よりも。
「愛してます。」
誰より、も。
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