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この関係が不自然でも何でもいい。こうして二人でぼんやりとしている時が、一番幸せなのだから。
「美登里ちゃん……。」
「ん?どうしたの?」
「ずうっと、こうして居たいな。ずうっと、離れたくないなあ……。」
「……そうだね。」
何時か、私達は離れ離れになる。大人には逆らえないのだから。一つ妥協した幸せを抱き締めて、私はきっと貴女の姿を映すのだと思う。
平行線に立ち結ばれない運命だと云うのは、もう何度も確認した。理解はしているはずなのに……今日もこうやって、お互いを確認し合うために遭って居る。
こんなにも、誰よりも、何よりも大切な存在だと胸を張って言えるのに抱き締める術さえ知らない。永遠なんて言葉は当たり前に存在出来ずに宙を舞っている。
「……それじゃあ、さようなら。」
そう告げて、来た道を戻る。冷めきった温もりを掌に握り締めながら。次の約束は何時もしない。振り返らずにただ歩く。有るかも分からない明日をほんの少しだけ描きながら。
( あの時間が永遠 )
おわり。
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