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「ゲーム進んだか?」
「まぁまぁだな。漸くバハムートを仲間に出来たが、お陰で寝不足だ」
「んじゃリヴとメイサを仲間に出来るのはまだまだ先だな」
「メイサはまだまだだが、リヴはもう少しで仲間に出来た気がするんだが……」
どうだったかな、と蒼湖が笑う。
小学生以来の懐かしいゲームを押し入れから引っ張り出したのは、花見から帰った当日。
以来蒼湖は、毎日少しずつ、コツコツとゲームを続けている。
それと並行して行っている作業もまた、蒼湖の寝不足の一端だ。
「モーんトコに遊びに行きてーなぁ」
「行けばいいじゃないか。ユーイはよく行っているらしいぞ?」
「ああ、聞いてる。紫允さんとオネーサンもよく行くみてーだけど……そーいえば、銀河は紫允さんが留守の間はいつも向こうに居るってよ」
「へぇ。じゃあモーは寂しくないな」
「つか、銀河行き過ぎだろ。……鷹央達、元気かな。花見以来会ってねーから会いてーよ」
「まさか全員同い年だったとは思わなかったが受験生だからな。仕方がない」
「俺達もだろーがよ」
「ふっ、そうだったな」
「何処でも余裕で入れる頭を持った奴はこれだから……」
「鷹央達は帝都狙いみたいだぞ」
「マジでか! 俺と一緒じゃねーか! お前はどーすんだ?」
「俺は――まだ決めていない」
蒼湖には、物心ついて間もない頃からの夢があった。
けれど、普通に生きていれば知らなかった世界を見、それによって得られた貴重な体験が、蒼湖を迷わせる。
まだもう少しだけ迷える時間があるから……迷おうと思う。
選んだ道を、只管に、真っ直ぐ進んでゆく為に――。
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