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「全員グラスは持った? 翠、乾杯、乾杯!」
「コホッ、では・・・・。10回目の花見、またここに全員が集えた事を嬉しく思う。今までもこれからも、変わらぬ友情に、乾杯!」
「カンパーイ!!」
翠の音頭で33人が追ってグラスを掲げた時。
何処から発せられたのか、誰かの声が耳に届いた。
「……誰か何か言ったか? お! バハムートじゃねーか!」
キョロキョロと辺りを見回した紅姫が、星空の中にバハムートを見付けた。
花見の日は決まって行方不明になっていたバハムート。
花見の日以外にも小陸を訪れているから10年振りとまではいかないが、そう頻繁には来られない為に、会うのは久々だ。
バハムートが高度を下げてくると、一瞬目を見開いた蒼湖が目を細めて口角を引き上げた。
「何だ蒼湖、その怪しいツラは」
「紅姫、バハムートの背中をよく見てみろよ」
「上を飛んでんのに背中なんか見える訳が……誰か乗ってんな」
「えっ、誰!?」
蒼湖以外の全員がグラスを傾けるのを中断し、目を凝らして星空を見上げる。
そして――。
「教……授……?」
「何とお!? 教授じゃとぉ!?」
「その様だな」
「うへぇ、マジかよ!」
「うわー懐かしー」
バハムートの背から身を乗り出して手を振っているのは、紛れもなく教授だった。
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