チェリーブロッサム②

3/15
726人が本棚に入れています
本棚に追加
/915ページ
「全員グラスは持った? 翠、乾杯、乾杯!」 「コホッ、では・・・・。10回目の花見、またここに全員が集えた事を嬉しく思う。今までもこれからも、変わらぬ友情に、乾杯!」 「カンパーイ!!」 翠の音頭で33人が追ってグラスを掲げた時。 何処から発せられたのか、誰かの声が耳に届いた。 「……誰か何か言ったか? お! バハムートじゃねーか!」 キョロキョロと辺りを見回した紅姫が、星空の中にバハムートを見付けた。 花見の日は決まって行方不明になっていたバハムート。 花見の日以外にも小陸を訪れているから10年振りとまではいかないが、そう頻繁には来られない為に、会うのは久々だ。 バハムートが高度を下げてくると、一瞬目を見開いた蒼湖が目を細めて口角を引き上げた。 「何だ蒼湖、その怪しいツラは」 「紅姫、バハムートの背中をよく見てみろよ」 「上を飛んでんのに背中なんか見える訳が……誰か乗ってんな」 「えっ、誰!?」 蒼湖以外の全員がグラスを傾けるのを中断し、目を凝らして星空を見上げる。 そして――。 「教……授……?」 「何とお!? 教授じゃとぉ!?」 「その様だな」 「うへぇ、マジかよ!」 「うわー懐かしー」 バハムートの背から身を乗り出して手を振っているのは、紛れもなく教授だった。
/915ページ

最初のコメントを投稿しよう!