チェリーブロッサム②

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溝を埋め、隙間を埋め、酒を煽りながら縮まる教授との距離。 垣根が取り払われ、皆と笑顔で酒を酌み交わし、紅姫と肩を組んで昔話を始めた頃、蒼湖が言った。 「教授。そろそろ紹介して下さい。貴方と共に、ブラックホールを抜けてきた相棒を」 ・・・・は? 豆鉄砲を食らった鳩が、33羽。 「何言ってんだよ蒼湖、そこにバハムートが居んじゃねーか」 焼肉を摘んだままの箸をバハムートに向けて鳩代表が言ったが、蒼湖は首を振る。 「一緒に抜けてきたのはバハムートじゃない。教授とクエストに臨んだのもな」 「お前、意味分かんねーよ」 「そうか? 考えれば分かるだろう。<バハムートの心>は、モーが持っている」 アッ! と33人の口が開く。 「え、でもよ。しょっちゅう居なくなってたのは、コイツとクエストに行ってたからじゃねーのか?」 「頻繁に居なくなっていた理由は俺にも分からない。だが、バハムートは時空を超えていない。この世界の何処かに居た筈だ。詳しい事は教授に伺え」 と言われ、全員の顔が一斉に教授に向く。 肩を組んでいる紅姫と教授の顔は近過ぎだ。 お互い寄り目で、焦点が合っていないに違いない。 「どーいうこった!!」 「聞く前に離れろ! 馬鹿かお前は!」 頭をはたくとキスしてしまいそうなので、蒼湖は紅姫の耳を引っ張った。
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