チェリーブロッサム②

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「何か酔えない」 「俺もだ」 まさか? いや、そんな事は無理だ。 でも蒼湖だし? 否定と肯定がエンドレスな頭は、気が張っているせいか全く酔いが回らず、ついついボヤきが出た翠と紫允。 そういう状態なのは2人だけではないらしく、皆がそわそわと北の空に視線を走らせ、折角10年目に咲いた桜を誰も見ていない。 見張りの居ないバーベキューは、肉も野菜も既に炭化してしまっていて丸焦げ。 これは掃除して焼き直しだ。 一行が待ち侘びているのは、蒼湖が起こすであろう奇跡の瞬間。 同じジェミニの名を持つ、2体のバハムート。 願望と、期待が止まらない。 そんな一行の思いを背に、教授と帝王からクリスタルを受け取った蒼湖は――。 「1時間、お預りします」 そう言って零式の背に乗り、城へと飛び立っていった。 そして、そろそろ1時間――。 「帰ってきたわ!」 桃花が空を指差すと、全員が勢いよく仰ぎ見た。 こちらへ向かってくるのは零式と、もう1体。 けれど、バハムートではない。 「うへぇ……。アイツ、マジでやりやがった」 紅姫が呻いたのも無理は無い。 何故なら――。
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