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「バハムート……改……」
教授が目を見開き、ポロリと猪口を落とす。
――そう。
零式と共に飛翔してくるのは、深紅の姿態を持つ<バハムート改>。
たったの1時間で、蒼湖は奇跡を起こした。
「あれはジェミニ……なのか?」
教授の横に並び立ち、空を見上げる帝王が目を細める。
その顔は満足げだ。
「そうじゃよキョージュ。オヌシが同じ名を付けた表裏一体を成す2体を、蒼湖は融合させたのじゃ。オヌシの心は、2体のバハムートを求めておったじゃろう? あのバハムート改が、オヌシの傍に居るべき召喚獣じゃ」
そう言って帝王が教授の背中をポンと叩くと、教授の瞳から、ポロッと雫が転がり落ちた。
融合は、再生よりも難しい。
記憶をそっくり残したままとなると、ほぼ不可能に近い技術。
だから教授は諦めていた。
なのに蒼湖は――。
「お待たせしました、教授」
茫然としている教授の手を掬い上げ、その手の平に蒼湖がそっと乗せたもの。
<バハムート改の心>。
今は空き家だ。
「どちらのバハムートの記憶も残っています。ただ、能力が2体分なので、ご覧の通り体は進化させざるを得ませんでしたが」
「蒼湖、何て奴だ貴様は。・・・・ジェミニ」
呼べば、バハムートだった時と同じ黄色の瞳が嬉しそうに細められ、教授を見詰めた。
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