チェリーブロッサム②

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「は? 何だよそれ。だって別人みてーじゃねーか」 「今の彼が素の彼なんだよ。俺達に対しては、<日本人>てフィルターが掛かっていたせいでああだっただけだ。そのフィルターが取れたから元々の彼が顔を出したに過ぎない」 「……マジ?」 「マジ」 「・・・・てぇと? 人は変われねーのか?」 「結論から言えば、<考え方>は変えられる。だが、<人>は変わらないな。でも十分なんじゃないか? それで。<考え方>が変わる事で、<人>が変わった様に感じられる事もあるんだからな……教授みたいに」 「シックリしねぇーーー!! お前は言葉の魔術師だ! 俺を煙に巻きやがって!」 「ふっ、何とでも言え。納得するもしないもお前次第だ。俺は持論を進呈しただけで、お前を論破して丸め込もうとしている訳じゃない。30歳を目前にしてもまだ<人は変われる>なんて信じている頭がお花畑の――悪い、本音が零れた」 「おぉ前ぇぇぇ」 「兎に角。純粋なお前の可愛らしい夢を打ち砕こうなんて、これっぽっちも思っちゃいないぞ?」 クッと笑う蒼湖をジーッと見詰める紅姫。 「……お前、年取ったらますます食えねーな」 「それは気のせいだ。俺を軽く料理出来る奴だって居るさ……何処かにな」 「そんな奴ぜってー居ねぇ!」 「世の中に於いて<絶対>と言い切れるものは、万人に平等に訪れる<死>だけだ。その他の<絶対>は、不確定要素が絡まって……」 「もーいー! いーか!? 蒼湖! ×0=0、これも絶対だ!」 「子供だな、紅姫」 「俺は少年の心を持った大人だ!」 「言葉の魔術師め」 「ウッセー!!」
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